違いを乗り越えて
中村さん夫婦は、結婚して8年目。二人は最初の頃はお互いの違いを楽しんでいましたが、年月が経つにつれ、その違いがストレスの原因となり、度々衝突するようになっていました。中村さんは整理整頓が得意で計画的、対して妻の美香さんは自由奔放でマイペース。意見が合わないことが多く、日常の些細なことで口論が絶えませんでした。
「このままで、本当に大丈夫なのかな…」と中村さんは不安を抱えていました。何度も話し合いを試みましたが、お互いの意見の違いを超えることができず、イライラするばかり。離婚の二文字が頭をよぎることもありました。
ある日、中村さんは出張先で一緒になった先輩と夕食を共にし、結婚生活について悩みを打ち明けました。先輩は少し笑いながら、「結婚って、一種の修行みたいなものだよ。相手が完璧じゃないことを受け入れて、相手と一緒に成長するって考えると楽になるよ」と話してくれました。
その夜、中村さんはその言葉を何度も思い返しました。「確かに、相手が違うからこそ学べることもあるんじゃないか?」と少し視点が変わったのです。美香さんとの違いを乗り越えるためには、完璧な解決策を求めるのではなく、お互いの違いを尊重し、少しずつ歩み寄る努力が必要だと気づきました。
帰宅後、中村さんはまず、自分から少しの変化を試みました。美香さんの意見や気持ちにもっと耳を傾け、今までなら「どうして?」と思っていた行動を「なるほど、こういう考え方もあるんだ」と受け入れるよう努めました。最初は難しかったものの、徐々に美香さんも中村さんの変化に気づき、少しずつお互いに譲り合う姿勢が見られるようになりました。
ある夜、美香さんは突然「最近、あなたが変わったみたい。前よりずっと話しやすいし、私ももっとあなたの気持ちを大事にしたいと思える」と笑顔で話してくれました。その一言が、中村さんにとって大きな励みとなり、二人の関係はゆっくりと修復されていきました。
結婚生活にはチャレンジがつきものですが、中村さんはその過程で学びました。「結婚とは、ただ愛し合うだけではなく、お互いに成長し続ける旅なんだ」と。時間をかけてでも努力し続ければ、必ず実りがあると信じることが、大切なのだと気づいたのです。
結婚生活には時に困難な状況が訪れるものですが、それを乗り越えた先には深い絆と幸福が待っています。キンボール大管長は、このようなチャレンジを前にしても、結婚生活を実り多いものにできることを次のように約束しています。
「あらゆる努力を払い、よく祈って、最も麗しく一致した生活を営める相手を見いだすように努めるとき、確かにすべての若い男女は、幸福を得、実り多い結婚生活を営むことができるのです。しかしそのためには、二人が進んで代価を払わなければなりません。」
キンボール大管長が言うように、結婚生活にはお互いが努力し、祈り、共に歩む覚悟が必要です。相違点や意見の違いが出てきても、それらを解決するために夫婦が共に取り組むことで、困難を乗り越えることが可能です。問題が深刻であったとしても、夫婦のどちらかが粘り強く愛と献身を示すことで、結婚生活は救われることがあるのです。
解決への道
残念ながら、夫婦の両方が常に同じ熱意で結婚生活を救いたいと考えるわけではありません。時には、一方のパートナーが結婚生活を継続する意志を持たないこともあります。しかし、そのような状況でも、より強い意志を持っているパートナーが結婚生活の原則を粘り強く実践することによって、やがて二人の関係が改善する可能性があるのです。
特に、イエス・キリストの教えである「人は自分のまいたものを、刈り取ることになる」(ガラテヤ6:7)という刈り入れの律法と「ほかの頬を向けること」(マタイ5:39参照)は、結婚生活にも当てはまります。配偶者が成熟し、悔い改めるまでの間、もう一方が愛と忍耐を持って接することが結婚生活を支える鍵となるのです。
目的
このワークショップでは、夫婦が結婚生活における課題に対して、福音の原則を活用し、日常生活でどのようにその原則を取り入れられるかを考える機会を提供します。福音の原則を通して、夫婦が互いに成長し、結婚生活を強めることを目指します。
ステップ1:結婚生活におけるチャレンジを書き出す
- 活動の内容
参加者に、現在の結婚生活において最も大きなチャレンジを二つ書いてもらいます。
例えば、コミュニケーションの不足、感情的なすれ違い、時間の使い方の違いなど、どのような内容でもかまいません。 - 例
- 「最近、パートナーとのコミュニケーションが減っている」
- 「感情的になることが多く、冷静に話し合えない」
- 目的
自分たちの結婚生活における具体的な課題を明確にし、問題解決の出発点を見つけることを促します。
ステップ2:福音の原則を当てはめて考える
- 活動の内容
次に、書き出したチャレンジに対して「家族:神の宣言」に挙げられている福音の原則を適用して、どのように助けになるかを考えてもらいます。- 信仰、祈り、悔い改め、赦し、尊敬、愛、思いやり、労働、健全な娯楽活動などの原則から、特に自分たちの課題解決に役立つと感じるものを選び、どのように日常生活で取り組むかを話し合います。
- 例
- 「祈りを通して、互いの気持ちを理解しようとする」
- 「感謝の気持ちを毎日言葉で伝えるよう心がける」
- 目的
福音の原則が、現実の課題解決にどのように役立つかを具体的に理解し、夫婦間でそれを共有する機会を作ります。
ステップ3:具体的な行動計画を立てる
- 活動の内容
参加者に、結婚生活を強めるためにすぐに実践できる具体的な行動を一つか二つ書いてもらいます。これが毎日の習慣になるよう、具体的で簡単に始められるものを選びましょう。 - 例
- 「毎晩一緒に祈る時間を作る」
- 「週に一度、楽しいアクティビティを一緒に行う」
- 「問題があったとき、すぐに悔い改めの気持ちを持つ」
- 目的
実際に夫婦で取り組む行動を明確にすることで、チャレンジを克服するための第一歩を踏み出せるようにします。
まとめ:福音の原則を日常に取り入れる
最後に、福音の原則を取り入れることで、夫婦関係がどのように強化されるかを再確認します。具体的な行動計画を実践する中で、小さな変化が積み重なることで、結婚生活がより充実し、互いに支え合える関係が育まれることを目指します。

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